結婚、そして東京へ

Nに会って来た。
茶屋町をぶらついて、適当な居酒屋に入った。
Nとは社会人になってから2〜3回飲みに行っている。
二人とも酒に強くないので、カルピスサワーで乾杯した。

結論から言うと、アイツは12月に結婚する。
相手は会社の先輩で、東京の男。
転勤で大阪支社に配属して、アイツと出会って、結婚。
男が1月に本社に戻るので、それにあわせて結婚&東京に引っ越すらしい。
Nも知ったのはつい最近だったそうだ。
東京出張の帰りに東京駅でアイツと偶然会って、本人から話を聞いたそうだ。
「学生時代も『このコは綺麗やな〜』って思ってたけど、あの時よりさらに美人になってたわ」
「俺彼女おったから恋愛感情は生まれへんかったけど、彼女おらんやつは結構狙ってるやつ多かったよな」
「お前もその一人やったなぁ。お前は隠してたかもしれんけど、バレバレやったで」
俺は恥ずかしくてこの場から立ち去りたかった。
「そんなにバレバレだった?」と聞くと
「俺はお前とよく一緒におったから気付いてたけど、他のやつは気付いてたか知らんわ。そんな会話になったことないし」
俺を気遣って言ってるのかとNの顔を見ると、Nは本当にそう思って発言しているようだった。

アイツは天然なところがあって、よく忘れ物をしてきた。
ペン、テキスト、財布、携帯、弁当・・・
その度に俺がアイツに貸していた。
アイツが朝から頑張って作った弁当を家に忘れてきたときは、なぐさめながら一緒に食堂でうどんを食べた思い出がある。

「なぁ、年内は大阪におるみたいやから、結婚祝いでも贈ったら?」
「サークルの後輩に結婚祝い贈るって言ったんやろ。贈らんかったらマズいんとちゃう?」
「何人かに声かけて飲み会セッティングするから、お前結婚祝い用意してや」
そう言ってNはさっそく何人かにメッセージを送っていた。
「今の流れやと11月の中旬になりそうやから、それまでに結婚祝いの品を用意しといてな。それはお前に一任するわ」
Nの計らいにより、結婚祝いが行われることになった。

それぞれのタイムマシン

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このまま忘れていたかった

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